トレックのロードバイク(2018年型)の
アルミモデルには、ほぼ同じ価格帯に
ドマーネALRシリーズと
エモンダALRシリーズがあります。

はじめてのロードバイクを
検討されている方にとって
ドマーネとエモンダのどちらがよいか
迷いますよね。

カタログやホームページをみると、
エモンダの特徴は軽さにあり、

ドマーネの特徴は、
快適さ(振動吸収性)と安定性にあります。

ロードバイク本来の
速さと軽快さを求めるなら、
なんといっても軽いのが一番です。

なので、
トレックのアルミモデルなら、
エモンダALRにしておけば間違いないです。

といわれても、
ドマーネも気になりますよね。

トレックのカタログ(2018年)には、
ドマーネについて
「圧倒的な快適性」
「究極のエンデュランスバイク」
といった気になるコピーがならんでいます。

 

なので、この記事では、
ドマーネALRが
どのようなロードバイクなのか

エモンダALRと比較しながらまとめてみました。

初めてのロードバイク選びにお役に立てれば幸いです。

エモンダALRについてはこちらの記事をどうぞ↓
初めてのロードバイク選び!エモンダALR5(2016年モデル)を基準に考えてみた

 

スポンサーリンク

ドマーネはロードバイクではない?選ぶ理由は?

エモンダとは異なるコンセプト/エンデュランスバイク

ドマーネは、エモンダとは
全く異なるコンセプトのバイクです。

トレックの2018年のカタログには、
エモンダについて
「軽量ロードレーシングマシーン」
と書いてありますが、

ドマーネについては
「エンデュランスバイク」と書いてあります。

「エンデュランスバイク」を
直訳すると、「耐久バイク」ですが、
一般には、
乗り心地が良い
ロングライド用バイク
を意味しています。

「コンフォートバイク」ともいわれています。

このように、ドマーネは
エモンダとは異なるバイクとして区別されています。

 

ちなみに、
「バイク」(bike)は、「自転車」の意味で、bicycleの略語です。
(「オートバイ」(自動二輪)の意味ではないです)

また、
「ロングライド」(long ride)は「遠乗り」、
「コンフォート」(comfort)は「快適、楽にする」といった意味です。

なお、実際のレースでは、
ドマーネのトップグレードのSLRは、
コースの長さではなく、
石畳(いしだたみ)のような
荒れた路面がコースにあるときに使われます。

エモンダがあればドマーネはいらない?

一方、エモンダは、軽いので
峠やアップダウンの多いコースに適しています。

また、エモンダは
アルミモデルのALRであっても
ロングライドに使えないことはありません。
100~200kmくらい普通に走れます。

坂が多いロングコースであれば
軽いエモンダの方がドマーネよりも良いです。

また、
日本の道路の舗装はきれいなので
石畳や未舗装の道路を走ることは少ないです。

あえて、そのような悪路を走るなら、
「シクロクロスバイク」、
「グラベルロード」もあります。

なので、
振動吸収性がよいというだけで
わざわざドマーネを選ぶ理由はないように思えます。

ドマーネを選ぶ理由は?

ところがドマーネを
ロードバイク(レース機材)
としてみるのではなく、

中高年の方にとっては聞き覚えがある
ランドナー(ツーリング用バイク)
としてみるなら、
ドマーネを選ぶ理由が見えてきます。

表彰台をイメージしていたり、
ヒルクライムをしてみたいなら、
エモンダがよいです。

ですが、
人より速く走ることよりも、
自分のベストタイムを削ることよりも、

ただ
自転車で遠くへ行ってみたい
と思うことがある方は、
一度、ドマーネを検討してみるとよいです。

 

スポンサーリンク

価格/ドマーネALRの方がエモンダより割高

ドマーネALRについて
さらに詳しく書く前に、価格(税抜き)を確認しておきます。

比較の結果を先にいっておくと、
ドマーネはエモンダより割高感があります。

車種と価格の比較

ドマーネのアルミフレームの
2018年モデルには、以下の車種があります。

  • ドマーネAL2(クラリス)79,000円
  • ドマーネAL3(ソラ)98,000円
  • ドマーネALR3(ソラ)138,000円
  • ドマーネALR4 DISK(ティアグラ)185,000円
  • ドマーネALR5 DISK(105)213,000円

一方、
エモンダのアルミフレームの
2018年モデルには、以下の車種があります。

  • エモンダALR4(ティアグラ)129,000円
  • エモンダALR5(105)166,000円
  • エモンダALR6(アルテグラ)297,000円

ロードバイクの価格を比較する際は
コンポ(コンポーネント)が同じモデルどうしを比較するのがよいです。

ですが、
「ティアグラ」のモデルどうしを比較すると
ドマーネには高価な「ディスクブレーキ」のモデルしかありません。

なので
コンポのグレードは違いますが
ディスクブレーキでないモデル同士を比較すると、

下位のコンポ「ソラ」のドマーネALR3は
コンポのグレードが低いにもかかわらず、
上位のコンポ「ティアグラ」のエモンダALR4よりも
9000円高い価格になっています。

このように、
ドマーネはエモンダより割高感があります。

 

ちなみに
シマノのコンポは、
ターニー<クラリス<ソラ<ティアグラ<105<アルテグラ<デュラエース
の順で値段が高くなり、軽量かつ高性能になります。

105以上がリア11速で
上位と互換性があり、
競技用モデルになります。

ティアグラは10速、ソラは9速です。

ロングライドやツーリング目的であれば
また初心者であれば、
コンポはソラやティアグラで十分です。

価格差の理由/フレームの振動吸収機構IsoSpeedの有無

ロードバイクの価格の違いは
主にフレームセットやホイール、
コンポやブレーキ等のパーツの違いによります。

上記のようにドマーネに割高感があるのは、
ドマーネのフレームには振動吸収機構IsoSpeedがついているのが主な理由です。

コンポが同じ「ソラ」のドマーネどうしを比較すると
振動吸収機構IsoSpeedがついている「ドマーネALR3」は
ついていない「ドマーネAL3」より4万円高くなっています。

また、
カーボンモデルの
ドマーネSLとエモンダSLは
フレームセット単体でも販売されているので比較すると
約3万円ほどドマーネがエモンダより高く設定されています。

ドマーネALRは重い?

500mlペットボトル1~2本分の差

ドマーネALRのデメリットは、
上記の通り、エモンダALRに比べて
価格が高いこと、

そして、
重いことです。

トレックのホームページから
サイズ56cm(適応身長174~182cm)の重量は次の通りです。

  • ドマーネAL3(クラリス):9.92 kg
  • ドマーネAL3(ソラ):9.77 kg
  • ドマーネALR3(ソラ)9.44 kg
  • ドマーネALR4-DISK(ティアグラ)9.75 kg
  • ドマーネALR5-DISK(105):9.48 kg
  •  

  • エモンダALR4(ティアグラ)8.89 kg
  • エモンダALR5(105):8.47 kg

ドマーネのアルミモデルの中で
最も軽いドマーネALR3(ソラ)は、
エモンダALR4(ティアグラ)に対して、
0.55kg(550g)重いです。

また、
ディスクブレーキ仕様の
ドマーネALR4-DISK(ティアグラ)を
同じコンポがついているエモンダALR4(ティアグラ)と比較すると
1kg近くも重いです。

0.55kg(550g)は
およそ500mlのペットボトル1本分
1kg(1000g)は
500mlのペットボトル2本分です。

 

ペットボトル1~2本を重いと感じるか、
それほどでもないと思うかは、
乗り手によって違います。

ヒルクライムでは
550gはとんでもなく重いです。
100g程度の軽量化に
数万円から数十万円もかけることもあります。

一方、
ロングライドやツーリングでは、
「このルートは、途中に
自販機やコンビニが少なさそうだから
ボトルを1本多く持っていこうか」
といった感覚です。

荷物が増えて重くなっても
ロングライドでは補給の方が大切です。

アルミの材質が違う

ドマーネとエモンダのアルミモデルは
どちらもフレームがアルミ製ですが、
アルミの材質が異なります。

ドマーネALは
100シリーズのアルファアルミ、
ドマーネALRは
200シリーズのアルファアルミ、
エモンダALRは
300シリーズのアルファアルミです。

300シリーズアルファアルミは
エモンダALR用に新たに採用された軽量アルミ素材です。
軽さ重視の素材です。

一方、
200シリーズアルファアルミは、
これまでの上位のアルミモデルに
使われていたアルミ素材なので、
強度や耐久性の点で安心感があります。

Iso Speedは効果がある?

フロントにIso Speedがついていない

ドマーネの売りは、
Iso Speedによる振動吸収性です。

ドマーネのカーボンモデルSLとSLRには、
フロントにもリアにもIso Speedがあり、
さらに、
振動吸収性に優れたハンドルもついています。
(SLはアルミ製、SLRはカーボン製)

ですが、
アルミモデルのドマーネALRには
フロントのIso Speedがついていません。

リアのIso Speedのみです。

ハンドルも通常のアルミハンドルです。

 

なので、
アルミモデルのドマーネALRは、
主にリアのIso Speedによる
シートチューブのしなりで振動を吸収するのですが、
マウンテンバイク(MTB)の
サスペンションのような効果を期待しているとガッカリします。

私は、カーボン製の旧モデル
(Sシリーズ相当)を試乗したことがあるのですが、
舗装路を数km走行した程度では
リアのIso Speedの効果は体感できませんでした。

私が鈍感なだけかもしれませんが、
100km以上のロングライドなら
実感できるものなのかもしれません。

 

ちなみに、
上位のカーボンモデルのSLとSLRは、
シートチューブとシートポストが特殊な構造です。

この構造(シートマストキャップ構造)は、
シートチューブとシートポストの一部とが一体化され、
サドル側のシートポストを
フレーム側の一体化されたシートポストにかぶせる構造になっています。

一方、
下位モデルのALRは、
シートポストをシートチューブに差し込む通常タイプです。

このような構造の違いも
リア側の振動吸収性に影響しています。

 

下の動画はカーボンフレームのIsoSpeedですが
基本原理はアルミフレームのIsoSpeedも同じです。

1分46秒ほどの短い動画なので確認しておくとよいです↓
(カンチェラーラがカッコイイです)

 

次の動画は、フロントのIsoSpeedを説明しています(アルミモデルにはついていません)。

17秒の短い動画ですが、工夫された構造がわかります。

峠道の荒れた路面にも効果がありそうです。

乗り心地が良いのはタイヤのおかげ?

ドマーネの振動吸収性といえば
Iso Speedばかり注目されますが、
ドマーネのタイヤは太いです。

タイヤの太さは乗り心地に影響します。

ドマーネALR3のタイヤ幅は
28c(28mm)
ディスクブレーキモデルのタイヤ幅は
32c(32mm)です。

タイヤが太いと空気量が多く、
適正空気圧が低くなるので、
路面からの振動をタイヤがしっかり吸収します。

リアのIso Speedの効果以上に
タイヤの太さが乗り心地を良くしているように思います。

一方、エモンダには、
28cや32cの太いタイヤはつきません。
(25cがついています)

私は、
ロードバイクで
23cと25c、
クロスバイクでは、
25c、28c、32c、35cを
試してみましたが、
タイヤが太いほど乗り心地の良さを体感できました。

 

ドマーネのタイヤ幅の
28~32c(28~32mm)は
ロードバイクとしては太いのですが、

ランドナー(ツーリングバイク)の
タイヤ幅は32mmから44mmくらいです。

ランドナーを基準にすると、
ドマーネは、タイヤが太いどころか
細めのタイヤをはいた
高速ツーリングバイク
といえます。

 


 

ちなみに、ロングライドには耐パンク性の高いタイヤがおすすめです↓

(アマゾンの画像リンク)

ドマーネの安定性の理由は?

ドマーネのもう一つの特徴に安定性があります。

この安定性の理由は、
フレームセットの
ジオメトリー(寸法図)にあります。

ドマーネは、エモンダに対して
低重心で(BB下がりが大きく)、
ホイールベースが長く
安定して走行できる設計になっています。

 

 

上の図面でもう少し説明すると、

「BB下がり」が大きい、すなわち
BB位置が低いとライダーの重心が低くなります。

(「BB」は「ボトムブラケット」の略語でペダルがついたクランクの軸部分です)

また、
ホイールベース
(前輪と後輪の車軸間の距離)
が長いと直進性がよくなります。

また、ドマーネは
ヘッドチューブ
(フロントフォークの接続部分)
が長めなので、前傾を浅くして
楽なポジションを取りやすくなっています。

さらに、
ヘッドチューブの角度が寝かし気味で

加えて、
フロントフォークが前方に曲がった
ベントフォークなので
振動吸収性に有利な設計になっています。

 

このように、ドマーネは、
エモンダに対して、
フレームセットの基本設計が

  • 重心
  • 直進性
  • 乗車姿勢
  • 振動吸収性

の点で異なり、

安定性を重視した
ロングライド志向になっています。

ドマーネのギア比はワイドレシオ

ドマーネには、
エモンダより軽くこげるギアがついています。

フロントのギアの歯数は、
エモンダもドマーネも同じ
50/34(コンパクト)ですが、

リアのギアの歯数は、
ドマーネが11-32
エモンダが11-28です。

なので、
最も軽いギア比は
ドマーネが前34/後32
エモンダが前34/後28です。

ドマーネのリアの歯数32
マウンテンバイク(MTB)並みです。

このように、ドマーネは
エモンダより重いですが、
どんな坂でも登れる軽いギア比の構成となっています。

 

32Tのスプロケットはこんな感じです↓

(アマゾンの画像リンク)

ドマーネのブレーキは強力

ドマーネALRのブレーキは、
ディスクブレーキ、又は
ダイレクトマウントブレーキです。

ディスクブレーキについては説明はいらないですよね。

雨の日でも良く効き、
コントロール性に優れ、
それに見た目もカッコイイです。

また
ダイレクトマウントブレーキの効きも良いです。

一方、
エモンダのブレーキは
通常のキャリパーブレーキです。

(下位のドマーネAL2とAL3のブレーキも通常のキャリパーブレーキです)

キャリパーブレーキが
1点でフォークに固定されるのに対して
ダイレクトマウントブレーキは
左右の2点で固定され、力がしっかり伝わるので効きが良いです。

 

ちなみに
ドマーネALRについている
ダイレクトマウントブレーキはテクトロ社製です。

こちらのシマノ製に交換するとさらに安心ですよ(アマゾンへのリンクです)↓

シマノ製105のダイレクトマウントブレーキ

さらに快適さを求めるなら

フロントの振動吸収性について

前にも書きましたが、
ドマーネALRシリーズには、
フロントにIso Sppedがついていません。

ドマーネ用の振動吸収性の良いハンドルもついていません。

なので、
上位モデルより振動吸収性が劣ります。

ですが、
こちらの記事で紹介するパーツをつければ、
振動吸収性がアップしますよ↓
ロードバイクのハンドルの振動対策!手を快適にするパーツは?

ホイールについて

ドマーネALRシリーズも
エモンダALRシリーズも
どちらもエントリーモデルなので、

最初からついているホイールは
とても重いです。

ホイールの重さは走りに影響するので
乗り慣れた頃に、
軽いホイールに交換すると良いです。

例えば、
シマノ製のホイールはコストパフォーマンスがよいですよ(アマゾンへのリンクです)↓
シマノ WH-RS500 前後セット チューブレス・クリンチャー対応 アルミホイール EWHRS500FRL

 

このホイールはリムが軽いです(アマゾンへのリンクです)↓
シマノホイールWH-RS81-C24-CL

ホイールが軽いと、ロングライドやツーリングが楽しくなりますよ。

 

スポンサーリンク

おわりに

トレックの「エモンダ」は、
軽さが特徴なので、
ロードバイク本来のスピードや軽快さを楽しむことができます。

なので、
レースやヒルクライムをするなら
軽いエモンダで決まり
です。

 

一方、「ドマーネ」は
エモンダより速さや軽快さは劣りますが、
乗り手の身体への負担を減らすための工夫がされています。

ロングライドや長距離ツーリング
イメージしている方は
エモンダを買う前に一度ドマーネを検討してみてください。

レース志向のロードバイクとしてではなく
ツーリングバイク/ランドナーとしてみるなら、

ドマーネALRは、
どこまでも遠くへ行けそうな気にさせてくれるバイクです。

 

この記事が、トレックのロードバイク選びにお役に立てれば幸いです。

 

こちらの記事ではドマーネのアルミモデル同士を比較してみました↓
トレックのドマーネ(2018年モデル)は初心者ならどの車種がよい?アルミモデルを比較してみた

 

ハンドルの振動対策についてもまとめてみました↓
ロードバイクのハンドルの振動対策!手を快適にするパーツは?

 

 

 

スポンサーリンク